④法定相続情報証明制度について
更新日:2020.6.24
国際相続とは直接関係ありませんが、ここでは少し話題を変えて、日本での相続手続きのために便利な『法定相続情報証明制度』について説明します。
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目次
法定相続情報証明制度は「国内の」相続手続に便利
『法定相続情報証明制度』は2017年に日本に導入されました。
次のように、あくまで「国内での」相続手続きを進めるのに若干便利になりました。
分かりやすく言うと、以下の通りです。
従来の相続手続では日本人の国内財産の相続手続きについて、故人にまつわる戸籍の全て(出生から死亡までと家族(相続人全員)が分かる戸籍、原戸籍、改製原戸籍、除籍謄本)(以下「戸籍の束」といいます。)を取得して、金融機関や法務局に毎回それらの原本を提出する必要がありました。
戸籍の束の原本を何度も取り寄せたり、郵送したりするのは費用や時間がかかります。
提出先によっては3か月以内のものを要求されるため、期限が過ぎてしまうと戸籍の束を改めて取り直す必要があるのでご遺族にとっては相当な負担でした。
法定相続情報証明制度はこの不便をなくすための制度です。
法定相続情報証明書により、国内各金融機関や法務局全てに対して戸籍の束の原本の提出や郵送の必要がなくなり、日本国内の相続手続きがだいぶスムーズになりました。
法定相続情報証明制度を詳しく説明すると、、、
もう少し詳しく説明すると次の通りです。
日本の金融機関や法務局は、相続人が相続財産の名義移転や口座の払戻をする前に「相続財産の名義人(被相続人)の法定相続人が誰か」を間違いなく判断する必要があります。
これを判断するために、以前は名義人にまつわる出生から死亡までと相続人となる家族・親族関係全てが分かる戸籍を必ず確認していました。戸籍以外の証明方法は認められませんでした。
法定相続情報証明制度は、法務局に被相続人(故人)の出生から死亡まで全ての戸籍の束の原本と被相続人と相続人の家族関係図を提出することで、法務局がその内容を確認して『法定相続情報証明書』を発行してくれる制度です。
一旦法務局にこれを申請してしまえば、以後は『法定相続情報証明書』が『戸籍の束』の代わりの役割を果たします。
金融機関や法務局は法定相続情報証明書を確認するだけで法定相続人を判断できるので、ご遺族は『戸籍の束』を毎回提出する必要がなくなります。
また、この法定相続情報証明書は一度に複数枚取得することができるので、相続登記や複数の銀行口座の相続手続きを並行して迅速に進められます。
法定相続情報証明書の取り方や詳しい概要については法務局のホームページ(リンクはこちら)が詳しいです。
さほど難しくないのでご自分で申請することもできますが、忙しければ弁護士、司法書士、行政書士、税理士などの専門家に代理で取得してもらうこともできます。
法定相続情報証明書だけでは足りない(遺産分割協議書や遺言執行は依然必要)
注意すべき点は、法定相続情報証明書は『法定相続人が誰であるか』を判断するためだけの証明書に過ぎないということです。
相続人が複数いる場合、相続財産を具体的に誰にどのように配分するかを決めるためには、法定相続情報証明書とは別に『遺産分割協議書』が依然として必要です。
また、相続財産について遺言がある場合は、遺言執行人による『遺言執行手続き』が必要です。
法定相続情報証明書は、あくまで故人の「出生から死亡までの『戸籍の束』」の代わりを果たすだけですから、遺産分割協議書の作成や遺言執行手続きの代わりをはたしませんので注意しましょう。
以上のとおり、日本の『法定相続情報証明制度』について説明しました。次回以降は、亡くなった日本人が海外に財産を持っていた場合の海外の相続手続きの進め方について説明します。
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