日本人弁護士(日本・香港・NY州)による国際相続・海外企業法務

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日本人弁護士(日本・香港・NY州)による
香港財産相続・海外企業法務
香港(永住権保有)在住・日本人弁護士による国際企業法務・相続・資産管理

香港で、日本人・日本企業が関係する国際企業法務・国際取引契約・国際相続・海外資産管理の実績(全国対応)を多数有する弁護士の絹川恭久です。

日本、NY州及び香港3つの法曹資格を持ち、日本(15年以上)と香港(5年以上)でそれぞれ実務経験を持っております。
国際相続の極意 Inheritance Laws in Japan

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国際相続の極意contents-inheritance

㉞ 国際相続解決事例①:相続人に外国人が含まれる場合の遺産分割

更新日:2026.1.20

はじめに

「亡くなったきょうだいの相続手続きをしようとしたら、海外に住む甥や姪も相続人だと分かった。でも、彼らは日本語が話せないし、印鑑も持っていない……」
最近このような「国際相続」の相談が増えています 。言葉の壁や手続きの違いをどう乗り越え、円満に解決したのか。あるご家族の事例をご紹介します。

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2. 対応の内容:言葉と制度の壁を越えるステップ

相談の経緯

ご相談に来られたのは、亡くなった被相続人の近くで支えていた妹さんでした 。被相続人は生前、「この家は妹に住んでもらいたい」と話しており、他の国内相続人もその意向に異存はありませんでした

しかし、最大の懸念は「カリフォルニアに住む被相続人の甥・姪たち」です。彼らは米国生まれ米国育ちで、日本語が話せず、妹さんも英語での複雑な法律手続きを説明する自信がなかったため、当事務所が間に入り、サポートを開始することになりました 。

解決までの手順

まず、被相続人が日本国籍であるため、「法の適用に関する通則法」に基づき、日本の民法が適用されます 。つまり、相続人に外国人が含まれていても、基本的には日本のルールで遺産分割協議を進めればよいのです 。

問題は、米国居住者である被相続人の甥・姪たちには、日本の「実印」や「印鑑証明書」がないという点でした 。この点を考えて、次のようなアプローチで本件を勧めることにしました。

  1. 英文レターでの丁寧なアプローチ まずは弁護士名で英文の通知を送り、遺産分割の案や代償金の概算、手続きへの協力を依頼しました 。間もなく「協力に異存はない」との快い返信をいただくことができました 。
  2. 「署名認証(サイン証明)」の活用 印鑑証明書の代わりに、米国の公証人(Notary Public)の面前で本人が署名したことを証明する書類を作成してもらいました 。
  3. バイリンガル(日英弊訳)形式の遺産分割協議書 日本語と英語を併記した書類を作成し、全員が内容を完全に理解した上で署名・捺印を行えるよう配慮しました 。

3. 国際相続における重要な注意点

相続人に外国人が含まれる場合の日本での相続(遺産分割)手続きを進める上で、遺産分割協議書以外にも特に以下のポイントには注意が必要です。

  • 家族関係の証明:日本の戸籍謄本がない外国人の場合、代わりに「出生証明書」や「婚姻証明書」などの証明書を取得し、被相続人との関係を立証しなければなりません 。戸籍制度というのは割と日本特有の制度ですが、ほとんどの外国では日本のような便利な戸籍制度がありません。
  • 全ての書類に翻訳が必要:米国の運転免許証やパスポート、公的証明書などは、すべて日本語に翻訳してから法務局(不動産の相続登記)や銀行(残高の払戻)に提出する必要があります 。
  • 法務局や銀行窓口での原本提示:預金の解約時には、海外から取り寄せた貴重な書類の「原本」を提示・提出する必要があります。原本は一部しかないにもかかわらず、加来手続で複数回利用する必要があります。そこで、後で取り戻せるよう、「原本還付」で手続きが進められるように、事前の確認が不可欠です 。

コミュニケーション上の注意としては、外国に住む相続人は、日本の「戸籍」や「住民票」といった仕組みを理解していません 。単に英語でこちらの要望を伝えるだけでなく、「日本での手続きに必要な書類が、現地のどの書類に該当するか」(例えば日本の戸籍のようなものとして「出生証明書」が「婚姻証明書」が必要であること)を適切に説明できる実務経験が求められます 。


4. 結果とかかった期間:8か月で無事に完了

最終的に、日本の相続登記を済ませ、金融機関の預金をすべて払い戻すことができました 。海外への代償金送金も当事務所が妹さんの代理人として実施し、相談から約8か月ですべての作業を終了しました 。今回のケースでは、事前に相談者が米国の相続人と初歩的なやり取りをしていたおかげで、依頼を受けてからスムーズに進めることができました。
ただ、中には、外国に住む相続人に連絡しても(Eメールで返信をお願いしても)、何度も無視されてなかなか連絡がつかないため、遅延してしまうケースもあります。

法律的に可能でも、海外にいる相続人の協力が得られないと全く進まなくなってしまいます。

5. 本件のまとめ

相続人に外国人が含まれていても、適切な手順を踏めば遺産の引き継ぎは可能です 。しかし、現地の事情を考慮せずに日本人と同じような対応を求めてしまうと、コミュニケーションの行き違いが生じ、時間と費用を浪費してしまうリスクがあります 。

弁護士を通じて連絡しても、相手方が協力してくれるかどうかは未知数です。そのようなことを念頭に入れて相続手続を進めなければなりません。

当事務所では、英語圏の国際相続において豊富な経験を有しております。 「親族が海外にいて、どう連絡を取ればいいか分からない」「英語の書類をどう準備すべきか不安だ」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

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