日本人弁護士(日本・香港・NY州)による国際相続・海外企業法務

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日本人弁護士(日本・香港・NY州)による
香港財産相続・海外企業法務
香港(永住権保有)在住・日本人弁護士による国際企業法務・相続・資産管理

香港で、日本人・日本企業が関係する国際企業法務・国際取引契約・国際相続・海外資産管理の実績(全国対応)を多数有する弁護士の絹川恭久です。

日本、NY州及び香港3つの法曹資格を持ち、日本(15年以上)と香港(5年以上)でそれぞれ実務経験を持っております。
国際相続の極意 Inheritance Laws in Japan

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①日本人が海外で死亡した場合:海外の役所で死亡届の提出・死亡証明書の取得

更新日:2020.6.24

日本人が海外で亡くなってしまったばあ、まず何をしなければならないでしょうか?この記事では、日本人が海外で亡くなってしまった場合に、遺族が行わなければならない手続を、最初から順を追って説明していきます。

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日本人が海外で死亡した場合、遺族が現地に行って手続する

もしも日本人が海外で亡くなった場合、ご遺族は悲しみに暮れると思います。

しかし日本国内で死亡した場合と異なり、日本人が海外で死亡した場合、ご遺族はいくつかの手続きを海外でしなければなりません
では 日本人が海外で亡くなった場合 、遺族はどんな手続きをしなければならないのでしょうか?

実は結構大変なので、一つずつ整理して説明していきたいと思います。

まず、日本人が海外で死亡した場合、普通は同居している家族がいる場合は家族に連絡が行きます。

死亡した日本人が海外でご家族と同居していたのでなければ、通常は亡くなった現地の病院等から在外公館(在外日本大使館・領事館など)に連絡が行き、外務省を通じて日本に住むご遺族に連絡が来ます。

亡くなった方が仕事での単身赴任や出張、留学などで海外に住んでいた場合は、勤務先の会社や学校などからご遺族に連絡が来ることもあります。

家族が海外で亡くなったと連絡を受けたときにご遺族がまずしなければならないことは、主に次の2つです。

  • 海外現地(死亡した国)で故人の死亡届を提出して死亡証明を取得すること
  • ご遺体(お骨)を日本に持ち帰って来ること

通常はご遺族の中で故人と一番近しい関係の方(例えば配偶者、子供又は親など)が遺族の代表として海外に渡航してこれら手続きをすることになります。

現地の行政機関での色々な手続きがあるため、どうしても第三者ではなく故人と親族関係がある方が行った方が各種手続きがスムーズになるからです。

ポン・デュ・ガール(南仏)
ポン・デュ・ガール(南仏)

ご遺族が海外現地に行く前に在外公館から手続を教えてもらう

死亡の連絡を受けたら、ご遺族はまず現地に渡航する前に、故人が亡くなった国(海外現地)の在外公館(日本大使館・領事館)に電話やメールで問合せして、事前に現地での死亡に関する手続きについて教えてもらうとよいでしょう。

現地在外日本公館は、当然ですが『日本語』で説明してくれるので、一時的な現地での状況を把握するのに便利だからです。
もしも、故人が海外でご遺族と同居していた時に亡くなった場合でも、ご遺族は死後の手続きについて現地在外公館に問い合わせるのが一番便利です。

その他に現地に渡航する前に準備するべき点がいくつかあります。

もしも故人クレジットカードや海外旅行保険、海外駐在員保険などに入っていた場合、保険の付帯特約を調べるといいでしょう。
もしかしたら、海外での死亡の場合、何らかの費用が保険などでカバーされている可能性があるからです。
このため、ご遺族は、心当たりがある故人のカード会社や保険会社に連絡してみてください。

また、カード会社や保険会社によっては、現地での日本語オペレータによる案内サービを提供している可能性がありますので、遺族が現地で困った時に助けてもらえるかもしれません。

さらに、場合によっては保険で、ご遺族が海外へ渡航するための費用やご遺体の搬送費用などが補償される可能性もあります。
後で保険会社から適切な補償を受けられるようにするため
 ・補償の内容
 ・必要となる書類(領収証など)
を事前に保険会社にしっかり確認しておきましょう。

これら渡航にかかった費用の領収証などは、ファイルを作って一つにまとめて保存しておくとよいでしょう。

海外現地の役所での死亡届と死亡証明書の取得(重要)

海外に渡航したご遺族は、海外現地の役所で死亡届の手続きをして『死亡証明書(Death Certificateを取得しないといけません。これが海外の手続きで一番重要なポイントです。

なぜなら、現地の役所が発行する『死亡証明書』は、のちのち日本の戸籍に故人の「死亡」を反映させるために必須となる非常に重要な書類だからです。

日本人が海外で死亡した場合の日本での死亡届までの手順を説明すると次の通りです。

  • 海外での死亡証明書を取得し、その後
  • 日本の市区町村役場(もしくは現地在外公館)でその死亡証明書を提出して死亡届を行い
  • これではじめて日本の戸籍に「死亡」の事実が反映されます。

このように、海外で死亡した人の場合日本の役場(戸籍)に死亡届を提出する前に海外での死亡証明書を取得することが先決問題なのです。

海外現地の役所での具体的な手続きは外国ごとに異なるので、詳細は現地の在外公館で助言を受けましょう。
大体どこの国も同じですが、必要となる書類は一般的には以下の通りです。

  • 故人のパスポート
  • 故人が死亡した現地の病院等が発行する死亡診断書
  • 届出人(ご遺族)のパスポート
  • 故人と届出人(ご遺族)の家族関係を証明する資料(戸籍等)、及び
  • それら(日本語の文書については)の現地語への翻訳 

国によってはこれら以外にも必要となる書類がある場合があります。

ご遺族は、海外に渡航する前に必要な書類が何かを在外公館や市区町村役場で確認しておき、あらかじめ日本で取っておくべき必要書類(戸籍など)を準備してから、渡航することをお勧めします。

オランジュ古代劇場(南仏)

『死亡証明書』は海外財産の相続(取戻し)手続にも必要

少し専門的になりますが、海外現地の『死亡証明書』は日本での「死亡届」以外の観点からも重要です。

それは、海外で財産を保有していた日本人が亡くなった場合、財産がある国・地域ごとに相続手続き(プロベート)を行わねばならないからです(プロベートについてはこちら⇒ テーマ⑦テーマ⑧テーマ⑨テーマ⑩参照)。

この海外での相続手続き(プロベート)のために、死亡証明書(Death Certificate)の原本(Original Copy)を、財産が存在する国・地域の裁判所や銀行に提出することが必要になります。

もしも故人の財産が日本以外の外国に存在していると、死亡した場所(外国)の政府が発行する死亡証明書(Death Certificate)の原本を持っていないと相続手続きができない可能性があります。

日本人が海外現地で亡くなった場合、その国に銀行預金など何らかの財産を持っていることが通常です。

このため、もしも日本人が海外で亡くなって、故人の何らかの財産が外国にも存在する場合には、のちのち各国の相続手続きを進めるためにも海外現地であらかじめ死亡証明書の原本を『複数』取得しておくことがおススメです。

もしも日本に帰国した後に死亡証明書の原本を海外の役所から日本に取り寄せようとすると、海外現地の弁護士費用や書類の認証費用が余計にかかってしまいます。

ですから、日本に帰国する前に可能ならば死亡証明書を複数取っておくことをおススメします。

現地の役所が死亡証明書の原本を複数発行してくれない場合、代わりに死亡証明書の『証明付コピー(Certified Copy)を複数発行してもらいましょう。
証明付コピーを原本の代わりとして相続手続きで使うことができる場合もあるからです。

『死亡証明書』の翻訳文やアポスティーユも現地で取得

死亡証明書を取った後、海外現地国の外務省アポスティーユ(Apostille)(その国の公的文書であることの証明)を取得しましょう。
このアポスティーユ(アポスティーユの説明はこちら外務省のHP参照)は、のちのち相続手続きにおいて海外の裁判所などに提出するために必要となるからです。
海外現地でのアポスティーユの取り方は現地の在外公館の職員に聞くといいでしょう。

在外公館ばかり頼っているようですが、在外公館はこういう時の日本人を助けるために存在しているのだから当然です。
タダですからなんでも遠慮しないで聞きましょう。

また、海外の死亡証明書は当然のことですが、外国語で書かれています
テーマ②でも書きますが、ご遺族が帰国した後日本の市町村役場で日本の死亡届で海外の死亡証明書を添付書類として提出する際、死亡証明書の日本語訳が必ず必要になります。

そこで、可能なら現地在外公館でそのような死亡証明の日本語訳(翻訳)の証明を発行してもらうか現地の翻訳業者を紹介してもらうといいでしょう。
日本に持ち帰ってから翻訳するよりも現地で翻訳業者を探したほうが安く済む場合があります。

長くなってしまいましたが、以上がご遺族が故人の死亡の連絡を受けてから海外現地で死亡証明書を取得するまでの説明です。

次回は故人のご遺体・お骨の輸送手配について説明します。

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ポン・デュ・ガール(南仏)
ポン・デュ・ガール(南仏)

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