日本人弁護士(日本・香港・NY州)による国際相続・海外企業法務

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日本人弁護士(日本・香港・NY州)による
香港財産相続・海外企業法務
香港(永住権保有)在住・日本人弁護士による国際企業法務・相続・資産管理

香港で、日本人・日本企業が関係する国際企業法務・国際取引契約・国際相続・海外資産管理の実績(全国対応)を多数有する弁護士の絹川恭久です。

日本、NY州及び香港3つの法曹資格を持ち、日本(15年以上)と香港(5年以上)でそれぞれ実務経験を持っております。
国際相続の極意

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国際相続の極意contents-inheritance

⑮香港のプロベートにかかるおおよその時間

更新日:2020.6.24

テーマ⑤でも説明しましたが、海外の財産を相続する際、日本の相続税の納期限を知っておくことが重要です。

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香港法、国際相続がらみのご相談はこちら

日本の相続税の納期限は10か月

相続開始を知った日から10ヶ月、すなわち被相続人が死亡した日から10ヶ月以内に相続人全員が相続税を『申告』し、かつ『納付』しなければなりません。

また日本人の場合、被相続人も相続人もずいぶん前に海外に移住してしまった、
というような非常に限定的な場合を除き、香港にある財産(預金口座の残高など)も日本の相続税の対象となります。

死後10ヶ月というと時間の余裕があるように見えて、プロベート手続きの観点からすると、実は非常にタイトなスケジュールです。

ほとんどの場合プロベートには10か月以上かかる

仮に亡くなった直後に香港の財産についてのプロベートを準備し始めたとしても、10ヶ月以内にすべての手続きを終えて、香港の銀行預金を取り返すのは、非常に難しいです。
私の経験上、日本人の場合これはほぼ不可能だと思います。

ニシ浜ビーチ(慶良間 阿嘉島、沖縄)
ニシ浜ビーチ(慶良間 阿嘉島、沖縄)

なぜなら、日本人のプロベートの場合、必要な書類の準備のために、
 ・死亡に関する証明書や家族関係に関する証明書(戸籍等)を取得し、
 ・それらについて必要なアポスティーユを取得し、
 ・香港に郵送したり、さらには翻訳して翻訳証明を作成したり、
と一つ一つの時間が非常にかかるからです。

さらに、すべての書類を整えて香港の裁判所に提出したあとでも、
裁判所がすぐにプロベートの命令(Grant)を出すわけではありません。
申立書類に少しでも不備があると、裁判所から補正が命じられます。
たとえ書類に不備がなくても、
担保の保証(Surety’s Guarantee)を求められたり(一定の場合は免除を受けることも可能)、
遺産管理状を発行するまでにこまごましたやり取りを何度をしたりするなど、
各段階でいちいち時間がかかります。

私の経験では、すべての手続きがなんら問題なくスムーズに行った場合でも、依頼を受けてからプロベート手続きの完了(遺産管理状の発行)まで、最短で半年は必ずかかります。実際はこの後に銀行からの払戻手続きをするので、さらに2、3か月、トータルで1年から1年半かかります。

相続人が高齢の場合には特急対応がある

なお、香港の裁判所は相続人(遺産管理人)が80歳代であるなど相当高齢の場合は特別扱いで特急対応してくれます。
相続人(遺産管理人)が高齢で亡くなってしまうと二次相続になって事態が複雑化してしまうからです。
それでも、すべての手続きに最低でも4から5か月は必要です。

なお上で述べた期間は『相続人の間になんらの争いもない』場合で、かつ『相続人がプロベートの書類準備のための日程を最大限優先した』場合、という理想的な条件がそろったケースの話です。

美ら海水族館(沖縄県)
美ら海水族館(沖縄県)

分割方法に争いがあるとプロベート自体進められない

財産の分割方法について争いがあって相続人同士協力できない場合、仕事の都合などで申立て書類の署名(公証役場での宣誓認証)に時間がかかってしまう場合には、それらの問題が積み重なって、さらに時間がかかってしまいます。

香港のプロベート裁判所は、非常に形式に細かく厳しく、悪く言ってしまうと『官僚的』で融通が利きません
日本の相続税のために必要だからという理由だけでは、手続きをすばやく処理してくれることはありません。
これは、香港の弁護士を代理人につけていようといまいと同じです。

他方で香港では「被相続人が亡くなった後いつまでにプロベートの申立てを済ませなければならない」という申立期限はないので、遅くなることには何ら問題はありません。

しかし日本の相続税との関係では、なるべく早く手続きを開始して預金残高を取り戻し、少しでも高額な相続税納税の穴埋めをするに越したことはありません。

近時の税制改正で、日本の相続税は実質増税され、基礎控除額が『3000万円+600万円×人数分』とかなり下げられてしまいました。
このため、さほど財産額が大きくない相続のケースでも相続税を負担せねばならない機会は増えてきました。

相続税納税資金としてプロベート対象(海外)財産は期待できない

以上のとおりプロベートは時間がかかるため10ヶ月以内に香港の銀行口座の預金を回収することはほぼ不可能です。
したがって、10か月以内に取り戻して日本の相続税の納税資金として期待することはできません。
納税資金のタイムリーな準備は非常に大切です。香港財産を納税資金の当てにしないで、別の方法で相続税納税資金を工面するようにしてください。

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美ら海水族館(沖縄県)
美ら海水族館(沖縄県)

プロベート全般に関するその他の記事はこちら↓
 ⑦相続手続に関する日本法と英米法の根本的な違い(1)(プロベートが必須)
 ⑧相続手続きに関する日本法と英米法の根本的な違い(2)(国ごとのプロベート)
 ⑨相続手続きに関する日本法と英米法の根本的な違い(3)(プロベートの順序)

香港特有のプロベートに関する記事はこちら↓
 ⑩香港では遺産分割協議書だけでは相続できない(プロベートが必要)
 ⑯香港の銀行・証券会社への口座残高の照会は結構難しい
 ㉗事例紹介:公正証書遺言のプロベート(香港の場合)

プロベートの回避方法・生前対策に関する記事はこちら↓
 ⑪香港の生命保険契約がある場合、プロベートは全く必要ない?
 ⑫(銀行・証券会社)ジョイントアカウントにはプロベートは不要
 ⑲海外財産の生前相続対策(1)(極力プロベートを回避すること)
 ⑳海外財産の生前相続対策(2)(資産管理会社について)

海外の信託(Trust)に関する記事はこちら↓
 ㉒海外の信託(Trust)について①~信託の歴史~
 ㉓海外の信託(Trust)について②~海外信託の利用~
 ㉔海外の信託(Trust)について③~信託の種類~
 ㉘裁量信託(Discretionary Trust)と意向書(Letter of Wishes)
 ㉙裁量信託の意向書(Letter of Wishes) に書き込む内容について

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